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最高裁判所第二小法廷 昭和36年(オ)117号 判決 1961年12月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人古関泉の上告理由その一について。

上告人の主張が、本件約束手形は原判示売掛代金債務の支払に代えて振出されたというに在ることは、記録上明らかであり、原判決の認定が、本件約束手形は右代金債務の支払に代えて振出されたものではなく、右代金債務の支払のために振出されたというに在ることも、判文上明白であつて、また、原判示が、所論支払は本件約束手形金の一部支払としてなされたものであるということも、判文上明らかであるから、原判決には所論のような違法はなく、所論は採用するに足らない。

同その二について。

本件約束手形は原判示売掛代金債務の支払のために振出されたものであつて、本件手形債務が時効により消滅しても、なお右売買契約上の債務は存在するから、本件利得償還請求は許されない旨の原判決の判断は、正当として是認できる。所論は、独自の見解であつて、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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